スージー鈴木音楽評論家、ラジオDJ、小説家
出典:NHK紅白歌合戦公式Xのポストより(下記)
M-1グランプリもそうだが、紅白の本当の楽しみ方も、単に見るだけではなく、見たあとに感想を、紅白好き・音楽好きの同好の士と、ああだこうだと勝手かつ無責任に語ることにある。そんな行いを普及させるべく、紅白好きの音楽評論家として、先んじて本稿をまとめてみた。ただし(個別出場者のファンではない)50代の紅白ファンかつ濃いめの音楽ファンによる、それなりに偏った視点によることを留意されたい。かつ、これを読んだ同好の士の方々もぜひ、自分なりのMVPを決められたい。
ココがポイント
今夜の「紅白歌合戦」、そもそも何時頃が見どころなのかをタイムテーブルを解読して考えてみた
▼椎名林檎ともも『ほぼ水の泡』(NHK紅白歌合戦公式Xより 以下同)
▼B’z『イルミネーション』他
▼米津玄師『さよーならまたいつか!』
エキスパートの補足・見解
1位:椎名林檎ともも『ほぼ水の泡』
・今回の個人的MVP。もも(チャラン・ポ・ランタン)という大穴。トータス松本や宮本浩次とコラボ出場したときの椎名林檎は、相手を食った感じがしたが、今回のももは完全に張り合っていた。
2位:B’z『イルミネーション』他
・NHKホールで、マイクトラブルなど物ともせず、あのド迫力のフィジカルを見せ付けたボーカルが還暦という事実は、数十万人のシニアを奮い立たせるだろう。
3位:米津玄師『さよーならまたいつか!』
・米津玄師の超安定的なボーカルに驚いた。「省かれる方がいないような世界を一歩一歩作っていけたらいいな」という、しびれるコメントをした脚本家・吉田恵里香は隠れMVP。
次点:星野源『ばらばら』
・選曲のことばかり語られるが、まずは今回の見事な歌と完璧なギターを褒めるべき。
他雑感:
・さすがに生演奏が少な過ぎる。
・従来のように生中継のときは「LIVE」の文字を出し続けてほしい。収録済み映像との峻別のためにも。
・最後に。「あなたへの歌」というテーマが抽象的過ぎた。何も言っていないに等しい。次回は吉田恵里香の言葉を借りて「省かれる方がいない世界のための歌」にすればどうか。
音楽評論家、ラジオDJ、小説家
音楽評論家。ラジオDJ、小説家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12『ザ・カセットテープ・ミュージック』、bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『幸福な退職』『桑田佳祐論』(新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』(ともに彩流社)、『恋するラジオ』(ブックマン社)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。東洋経済オンライン、東京スポーツなどで連載中。2023年12月12日に新刊『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)発売。