優勝トロフィーを手に笑顔の松山(AP)
<米男子ゴルフツアー:ザ・セントリー>◇最終日◇5日◇米ハワイ州カパルア・プランテーション・コース(7596ヤード、パー73)◇賞金総額2000万ドル(約31億円)優勝360万ドル(約5億5800万円)
男子ゴルフ第一人者の松山英樹(32=LEXUS)が、ハワイで開催された米男子ツアーの今季開幕戦ザ・セントリーで優勝し、アジア勢最多を更新するツアー通算11勝目を挙げた。米ハワイ州での優勝は、22年ソニー・オープンに続き2度目。実はハワイ開催の大会は自身の原点で大きなこだわりもあった。
松山に年末年始はない。今大会の開幕は2日。年末に日本からハワイ入りし、備えてきた。それも今年に限ったことではない。東北福祉大2年で米ツアー初出場した、11年のソニー・オープンから15年で13度、初戦は1月のハワイ。22-23年シーズンまでは年をまたいで年間王者を争い、シード権確保が難しいわけでもないシーズンもあった。それでもほとんどの年はオフには充てず、1月のハワイの試合に出場。そこには松山のこだわりがあった。
ハワイは83年2月に、青木功が日本人男子で初めて米ツアーで勝った特別な場所だ。同じワイアラエCCで行われた22年のソニー・オープンを制した際、松山は「青木さんが勝った試合で勝てたのは、すごくうれしい。複数の日本人が勝った試合はここだけ。それもすごくうれしい」と声を弾ませていた。かねて「青木さん、丸山(茂樹)さんが道を切り開いてくれたおかげで自分がいる。自分ができたことで、後に続く人が必ず現れる」と、日本人男子2人目のメジャー制覇への期待と同時に、先人への深い感謝を口にしていた。
ハワイの思い出はもう1つ。米ツアー初出場の11年ソニー・オープンについて「アマチュアだった自分にマスターズから招待状が届き、それまでとは全く違う環境でプレーすることになった。少しでも慣れるために、ソニーさんが推薦枠を使って招待してくれた。その10年後にマスターズで優勝できた」と、振り返ったことがあった。米ツアー11勝も、マスターズ優勝というアジア人初の快挙も、ハワイでの経験が全ての始まり。原点を忘れないための場所でツアー新の35アンダー。日本ゴルフ界にとってハワイが、一段と大切な場所となった。【高田文太】