星野源さん=東京都港区
NHKは26日、大みそかに放送する「第75回紅白歌合戦」で、星野源さんの曲目を「地獄でなぜ悪い」から「ばらばら」に変更すると発表した。「地獄でなぜ悪い」は、星野さんも出演した園子温監督の同名の映画の主題歌。園監督を巡っては、作品に出演した複数の女優に性的関係を迫ったとする週刊誌報道があり、園監督は「事実と異なる点がある」として週刊誌を名誉毀損で提訴。告発した女性が自死したとする報道もあった。裁判は今年2月に和解が成立している。
星野さんの歌は、くも膜下出血から生還した自身の体験を歌詞にしている。ネット上では曲目発表後、「性加害問題をないがしろにしている」「この曲を歌うなら紅白は見ない」などとする批判が出る一方で、「自分はあの曲に救われた」「性加害問題とこの曲は関係ない」と予定通りの歌唱を期待する声が出ていた。
NHKは同日発表したコメントで、「星野源さんが歌唱する『地獄でなぜ悪い』に関して、さまざまなご意見をいただいております」とした上で、「私たち制作チームは、今回のテーマである『あなたへの歌』のもと、この楽曲に込められた思いやメッセージを、テレビをご覧になる『あなた』へお届けすることで、今さまざまな時間を過ごしている人たちを勇気づけたい、という思いから、楽曲の選定を行い、オファーしました」と経緯を説明。
続けて、「アーティストはもちろん、NHKも性加害は決して許さないという姿勢であることは言うまでもありません。しかし、曲目発表後の反響を受け、あらためて紅白制作チームとアーティストサイドで協議を行い、番組全体の構成や演出面などから判断し、星野源さんの歌唱曲をデビューアルバムに収録されている『ばらばら』に変更することを決定しました」としている。