米ロス近郊の山火事、2カ所で制御不能に-強風は10日まで続く見通し

米ロサンゼルス近郊では強風が山火事を煽り続け、少なくとも5人が死亡。10万人余りが避難を余儀なくされている。同地域としてはここ数十年で最悪の自然災害となっている5カ所の大規模火災の鎮火に向け、消防活動が行われている。

2万9000エーカー(約117平方キロメートル)余りが焼失。8日夜から9日朝にかけて、ハリウッドヒルズでは新たな山火事が発生した。最大規模の2カ所の火災は完全に制御不能となっており、富裕層が住む海岸沿いのパシフィックパリセーズとパサデナを襲っている。米ストーム予測センターによると、危険な強風は少なくとも10日まで続く見通し。

パシフィックパリセーズで消火活動に当たる消防士(1月8日)

カリフォルニア州のニューサム知事は「7500人余りの消防隊員が現地で、地元および連邦政府の職員と協力しながら、カリフォルニア州で発生している歴史的な山火事への対応に当たっている」と、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿した。

アリゾナやオレゴンなど他の州からも消防隊員が応援に向かっている。オースティン米国防長官は9日、ドイツでの会合で、米軍は上空からの消火活動に航空機を提供する準備ができていると述べた。

Source: CAL FIRE, National Interagency Fire Center

今回の山火事の被害額は、米国史上最大になる恐れがある。火が消えるまではその全容は明らかにならないが、アキュウェザーは被害額および経済損失が520億-570億ドル(約8兆2100億ー9兆円)になるとの推計を示した。

米国立気象局(NWS)は強風と低い湿度のため、現地時間10日午後6時まで、この地域全体に火災のリスク上昇を警告するレッドフラッグ警報を発令。ロサンゼルス郡とベンチュラ郡では、時速56キロメートル前後の強風が予想され、約112キロに達する可能性もあるという。

木が倒れたり送電線が切れたりし、広範囲にわたる停電が発生するとの懸念も高まってる。電力会社エジソン・インターナショナルのサザンカリフォルニア・エジソンは、送電線が新たな火災を引き起こす危険性を減らすため、家庭や企業への送電を自主的に停止した。同社は8日、パサデナ近郊で発生した火災の検証を行っていると発表した。

9日現在、サザンカリフォルニアの顧客42万人余りが停電に見舞われている。

米国立気象局の上級気象学者、トッド・ホール氏は9日朝のリポートで、「9日夜から再び北東の風が吹くと予想され、10日にかけて厳しい状況が続くだろう」と指摘。さらに、10日には「中程度から局地的に強いサンタアナ風(高温で乾燥した局地風)」が再び発生し、丘陵地帯に強風をもたらすとの予報も示した。

ホール氏によると、14日夜から15日にかけて、再びサンタアナ風が発生する可能性があるが、降雨の見通しはなく、長期予報でも事態が好転する兆しは見られない。

原題:LA Fires Burn Out of Control After Leaving at Least 5 Dead (1)(抜粋)

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